視力低下・視野狭窄(糖尿病網膜症、緑内障、網膜色素変性症)で障害年金|認定基準と受給金額を徹底解説
目次
糖尿病網膜症、緑内障、網膜色素変性症、加齢黄斑変性などにより視力が低下したり視野が狭くなったりして、これからの仕事や日常生活に不安を感じていませんか。
「最近、見えづらくなって運転や仕事に支障が出てきた」
「視野の周辺が見えにくくなり、歩行中によくぶつかるようになった」
「障害者手帳は持っているけれど、障害年金ももらえるのだろうか」
そんなお悩みをお持ちの方に向けて、視覚障害(眼の障害)による障害年金の認定基準、受給できる金額の目安、申請のタイミングまで、障害年金を専門に扱う社会保険労務士がわかりやすく解説いたします。
視覚障害は、視力検査の数値・視野検査の結果という客観的な指標で等級が判定される、障害年金のなかでも判定が比較的明確な分野です。要件さえ満たしていれば、受給できる可能性が高い分野ですので、ぜひ最後までお読みください。
1. 視覚障害で障害年金はいくらもらえる?
結論:視力・視野の数値に応じて1級〜3級に認定されます
視覚障害による障害年金は、「視力障害」と「視野障害」の2つの観点から、検査数値に基づき1級・2級・3級または障害手当金に認定されます。
視力検査結果・視野検査結果という客観的な指標で機械的に判定されるため、精神疾患などと比べて等級判定の予測がつきやすいのが特徴です。
受給できる金額の目安(令和8年4月分から)
2026年度(令和8年度)の年金額は、前年度から障害基礎年金が1.9%、障害厚生年金(報酬比例部分)が2.0%引き上げられました。以下は日本年金機構が公表している令和8年4月分からの公式金額です。
| 加入していた年金 | 等級 | 年額(令和8年4月分から) |
|---|---|---|
| 障害基礎年金 | 1級 | 1,059,125円 |
| 障害基礎年金 | 2級 | 847,300円 |
| 障害厚生年金(会社員) | 1級 | 障害基礎年金 1,059,125円+報酬比例の年金×1.25(個人差あり) |
| 障害厚生年金(会社員) | 2級 | 障害基礎年金 847,300円+報酬比例の年金(個人差あり) |
| 障害厚生年金(会社員) | 3級 | 最低保障 635,500円〜(報酬月額・加入期間により増額) |
| 配偶者加給年金(1級・2級のみ) | ー | 243,800円 |
| 子の加算(18歳年度末まで) | ー | 1人目・2人目 各243,800円/3人目以降 各81,300円 |
※障害厚生年金の報酬比例部分は標準報酬月額・厚生年金加入期間により変動するため、上記の金額はあくまで目安です。
例:50代会社員(標準報酬月額40万円台・厚生年金加入25年程度・配偶者あり)で網膜色素変性症により2級に認定された場合
→ 障害厚生年金2級+配偶者加給で 年間約170万〜200万円が目安です(報酬比例部分は加入期間・標準報酬月額により変動します)。
2. 視力障害の認定基準
令和4年1月1日に「眼の障害」の認定基準が改正され、より実態に即した認定が行われるようになりました。これまで「両眼の視力の和」で判定されていた基準が「良い方の眼の視力」に変更され、片眼の視力が極端に悪いケースでも適切に評価されるようになっています。
| 等級 | 視力障害の認定基準 |
|---|---|
| 1級 | 両眼の視力がそれぞれ 0.03以下のもの/一眼の視力が0.04、他眼の視力が手動弁以下のもの |
| 2級 | 両眼の視力がそれぞれ 0.07以下のもの/一眼の視力が0.08、他眼の視力が手動弁以下のもの |
| 3級 | 両眼の視力がそれぞれ 0.1以下のもの |
| 障害手当金 | 一眼の視力が0.1以下のもの/両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの等 |
3. 視野障害の認定基準
視野障害の認定は、「ゴールドマン型視野計」または「自動視野計(ハンフリー視野計等)」のどちらの検査結果でも判定が可能になりました。改正前は2級と障害手当金しかありませんでしたが、新たに1級と3級の認定基準が追加されています。
ゴールドマン型視野計による認定基準
| 等級 | 認定基準 |
|---|---|
| 1級 | 両眼の周辺視野角度の総和がそれぞれ80度以下、かつ両眼中心視野角度がそれぞれ28度以下のもの |
| 2級 | 両眼の周辺視野角度の総和がそれぞれ80度以下、または両眼中心視野角度がそれぞれ56度以下のもの |
| 3級 | 両眼の視野がそれぞれ10度以内のもの/両眼による視野の2分の1以上が欠損したもの |
| 障害手当金 | 両眼による視野が2分の1以上欠損したもの/両眼の視野が10度以内のもの |
自動視野計(ハンフリー視野計等)による認定基準
| 等級 | 認定基準 |
|---|---|
| 1級 | 両眼開放視認点数が70点以下、かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの |
| 2級 | 両眼開放視認点数が70点以下、かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの |
| 3級 | 両眼開放視認点数が70点以下のもの/両眼中心視野視認点数が40点以下のもの |
求心性視野狭窄・輪状暗点・半盲などの方は、認定基準が拡充されたことで、これまで不支給だった方も再請求で受給できる可能性があります。
4. 視覚障害の障害年金で対象となる主な疾患
以下のような疾患により視力低下・視野狭窄が生じている方は、障害年金の対象となる可能性があります。
- 糖尿病網膜症(糖尿病の合併症で最も多い視覚障害の原因)
- 緑内障(視野欠損が徐々に進行)
- 網膜色素変性症(指定難病。求心性視野狭窄が特徴)
- 加齢黄斑変性(中心視野が見えにくくなる)
- 網膜剥離後の視力低下
- ベーチェット病によるぶどう膜炎
- 視神経萎縮
- 強度近視による黄斑変性
- 外傷性眼疾患(事故・労災等)
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5. 視覚障害の方が障害年金申請を早く検討するべき3つの理由
理由①:障害年金には5年の時効がある
障害年金は、認定日に遡って最大5年分まで一括で受け取ることができます(遡及請求)。
逆に言えば、5年を超えた分は時効で消滅してしまいます。
「視力低下・視野狭窄が進行してから数年経つけれど、障害年金のことを知らなかった」という方は、毎年数十万円〜100万円以上を失っている計算になります。
理由②:令和4年1月の認定基準改正で対象が拡大している
2022年(令和4年)1月1日の改正により、特に視野障害で1級・3級が新設され、求心性視野狭窄・輪状暗点・半盲などの方への認定が拡充されました。
これまで「視力は基準に達しないから」と諦めていた方や、過去に却下された方でも、視野障害として再請求すれば認定される可能性があります。改正の存在をご存じない方も多いため、まずは現在の検査結果を確認することが重要です。
理由③:診断書の記載は時間が経つほど取りづらくなる
障害認定日(原則として初診日から1年6ヶ月後)時点の状態を証明する診断書が必要ですが、時間が経つほど当時のカルテが廃棄されたり、主治医が異動・退職したりするリスクが高まります。
特に、5年・10年と経過したケースでは、当時の状態を正確に証明することが難しくなり、遡及請求が認められないことがあります。
💡あわせて読みたい:障害年金の遡及請求(さかのぼり請求)とは?
6. 働きながらでも視覚障害の障害年金は受け取れる?
結論:はい、就労していても受給できます
視覚障害による障害年金は、視力・視野の検査数値という客観的な基準で判定されるため、就労の有無は認定の直接的な要件ではありません。復職後・在職中の方でも受給できるのが大きな特徴です。
音声読み上げソフト・拡大読書器・点字を用いた業務、ロービジョンケアを受けながら勤務されている方も、認定基準を満たせば受給対象となります。
こんな方は申請をご検討ください
- 身体障害者手帳(視覚障害)をすでに取得している
- 視力が矯正しても0.1以下である
- 視野が10度以内または半分以上欠損している
- パソコン業務に音声読み上げソフトや拡大ソフトが必須である
- 暗所・夜間の歩行が困難である(網膜色素変性症など)
- 白杖を使用している、または使用を検討している
7. 視覚障害の障害年金に関するよくあるご質問
Q1. 身体障害者手帳の等級と障害年金の等級は同じですか?
A. 別の制度ですので、必ずしも一致しません。身体障害者手帳は身体障害者福祉法に基づく制度で、障害年金は国民年金法・厚生年金保険法に基づく制度です。手帳をお持ちでも障害年金の認定基準には別途該当する必要があり、逆に手帳の等級より障害年金の等級の方が重く認定されるケースもあります。
Q2. 糖尿病網膜症の場合、初診日はいつになりますか?
A. 糖尿病で初めて医師の診療を受けた日が初診日となります(相当因果関係)。眼科を初めて受診した日ではなく、糖尿病の診断のために内科を受診した日が原則です。
ご自身では「眼が見えにくくなって眼科に行ったのが初診日」と思われている方が多いのですが、糖尿病性網膜症の場合は糖尿病の初診日が問われますのでご注意ください。
Q3. 網膜色素変性症は指定難病ですが、障害年金とは別の制度ですか?
A. はい、別の制度です。指定難病の医療費助成と障害年金は併用可能です。網膜色素変性症は緩徐に進行することが多く、診断から数年経って視野狭窄が認定基準に達するケースが一般的です。視野が10度以内になった時点で3級該当の可能性が出てきますので、定期的な視野検査結果の確認をおすすめします。
Q4. 片眼だけ失明している場合は対象になりますか?
A. 片眼のみの視力喪失の場合、原則として障害手当金(一時金)の対象となります(「一眼の視力が0.06以下に減じたもの」等)。ただし他眼にも視力低下・視野障害がある場合は、より高い等級に該当する可能性があります。
Q5. 過去に申請して却下されたのですが、再請求できますか?
A. はい、可能です。特に令和4年1月1日の認定基準改正前に却下された視野障害の方は、新基準で再請求すれば認定される可能性が高まっています。事後重症請求として、新基準での再申請をご検討ください。
Q6. 国民年金(自営業・専業主婦)でも視覚障害で障害年金は受給できますか?
A. 1級・2級に該当すれば、障害基礎年金として受給可能です(年額1,059,125円または847,300円)。ただし3級は障害厚生年金にしかないため、国民年金加入中に初診日がある方が3級相当の状態の場合は対象外となります。
8. 視覚障害に伴う障害年金のご相談は専門の社労士へ
視覚障害(眼の障害)の障害年金は、検査数値で等級が判定されるため、受給可能性が高い分野です。一方で、「視力障害」と「視野障害」の併合認定、令和4年改正基準の活用、糖尿病からの相当因果関係の主張など、専門的な判断が必要な場面が多くあります。
特に「視力では基準に届かないが視野障害で2級該当だった」「過去に却下されたが新基準で再請求して認定された」というケースも珍しくありません。
当事務所では、視覚障害をはじめとする様々な病気やケガの障害年金申請を専門的にサポートしています。受給できる金額の試算や、初診日の確認、認定基準への該当可能性の判断など、分からないことがあれば何でもご相談ください。ご本人やご家族の負担を少しでも軽減できるよう、親身になってお手伝いいたします。まずは無料相談やLINEによる簡単相談から、お気軽にお問い合わせください。
※本記事に記載の年金額は、日本年金機構公表の令和8年4月分から適用される金額に基づいています(昭和31年4月2日以後生まれの方の額)。認定基準は令和4年1月1日改正後の現行基準を掲載しています。出典:障害基礎年金/障害厚生年金/障害等級表(日本年金機構)。

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