聴覚障害(難聴)で障害年金|認定基準と受給金額を社労士が徹底解説

突発性難聴やメニエール病、加齢性難聴、先天性難聴などにより聴力が低下し、これからの仕事や日常生活に不安を感じていませんか。

「補聴器をつけても会話が聞き取りにくくなってきた」
「電話対応や会議での聞き取りが難しく、仕事に支障が出ている」
「身体障害者手帳は持っているけれど、障害年金はもらえるのだろうか」

そんなお悩みをお持ちの方に向けて、聴覚障害(耳の障害)による障害年金の認定基準、受給できる金額の目安、申請のタイミングまで、障害年金を専門に扱う社会保険労務士がわかりやすく解説いたします。

聴覚障害は、オージオメータによる聴力レベル(デシベル)や語音明瞭度という客観的な検査数値で等級が判定される、障害年金のなかでも判定基準が明確な分野のひとつです。ぜひ最後までお読みください。

1. 聴覚障害で障害年金はいくらもらえる?

結論:聴力レベル・語音明瞭度の数値に応じて1級〜3級に認定されます

聴覚障害による障害年金は、原則として両耳の聴力レベル(デシベル値)と語音明瞭度に基づき、1級・2級・3級または障害手当金に認定されます。

オージオメータによる聴力検査結果という客観的な指標で判定されるため、認定の予測がつきやすいのが特徴です。

受給できる金額の目安(令和8年4月分から)

2026年度(令和8年度)の年金額は、前年度から障害基礎年金が1.9%、障害厚生年金(報酬比例部分)が2.0%引き上げられました。以下は日本年金機構が公表している令和8年4月分からの公式金額です。

加入していた年金 等級 年額(令和8年4月分から)
障害基礎年金 1級 1,059,125円
障害基礎年金 2級 847,300円
障害厚生年金(会社員) 1級 障害基礎年金 1,059,125円+報酬比例の年金×1.25(個人差あり)
障害厚生年金(会社員) 2級 障害基礎年金 847,300円+報酬比例の年金(個人差あり)
障害厚生年金(会社員) 3級 最低保障 635,500円〜(報酬月額・加入期間により増額)
配偶者加給年金(1級・2級のみ) 243,800円
子の加算(18歳年度末まで) 1人目・2人目 各243,800円/3人目以降 各81,300円
※昭和31年4月1日以前生まれの方は障害基礎年金1級が1,056,125円、2級が844,900円、障害厚生年金3級の最低保障が633,700円となります。
※障害厚生年金の報酬比例部分は標準報酬月額・厚生年金加入期間により変動するため、上記の金額はあくまで目安です。

例:40代会社員(標準報酬月額40万円台・厚生年金加入20年程度・配偶者あり)で両耳の聴力レベルが90dB以上となり2級に認定された場合
→ 障害厚生年金2級+配偶者加給で 年間約170万〜200万円が目安です(報酬比例部分は加入期間・標準報酬月額により変動します)。

2. 聴覚障害の認定基準

聴覚障害の認定は、「純音聴力レベル値」と「語音明瞭度」の2つの検査結果をもとに行われます。聴力レベル値は両耳のオージオメータ検査結果の平均値で判定されます。

等級 聴覚障害の認定基準
1級 両耳の聴力レベルが 100デシベル以上のもの
2級 両耳の聴力レベルが 90デシベル以上のもの
または 両耳の平均純音聴力レベル値が 80デシベル以上かつ最良語音明瞭度が 30%以下のもの
3級 両耳の聴力レベルが 70デシベル以上のもの
または 両耳の平均純音聴力レベル値が 50デシベル以上かつ最良語音明瞭度が 50%以下のもの
障害手当金 一耳の聴力が、耳殻に接しなければ大声による話を理解し得ないもの 等
※聴力レベルは、補聴器を装用しない状態でのオージオメータ(JIS規格またはこれに準ずる標準オージオメータ)による測定値で判定されます。

聴力レベルの目安(参考)

聴力レベル 聞こえ方の目安
100dB以上 耳元での大声もほとんど聞こえない
90dB以上 耳元での大声がやっと聞こえる
70dB以上 40cm以上では通常の会話を理解できない
50dB以上 普通の会話の声が聞き取りにくい

3. 聴覚障害の障害年金で対象となる主な疾患

以下のような疾患により聴力低下が生じている方は、障害年金の対象となる可能性があります。

  • 突発性難聴(治療後も聴力が回復しないケース)
  • メニエール病に伴う感音性難聴
  • 感音性難聴(騒音性難聴・原因不明の進行性難聴等)
  • 伝音性難聴(中耳炎後遺症等)
  • 混合性難聴
  • 先天性難聴(20歳前傷病による障害基礎年金の対象になる場合あり)
  • 加齢性難聴(老人性難聴)で重度のもの
  • 聴神経腫瘍術後の聴力低下
  • 外傷性難聴(頭部外傷・労災等)
  • 薬剤性難聴(抗がん剤・抗生物質等による)

4. 聴覚障害の障害年金申請で押さえておきたいポイント

ポイント①:障害年金には5年の時効がある

障害年金は、認定日に遡って最大5年分まで一括で受け取ることができます(遡及請求)。
5年を超えた分は時効により消滅するため、聴力低下が認定基準に該当する状態が長く続いている方は、早めに状況をご確認いただくことが大切です。

ポイント②:100dB以上の場合は他覚的聴力検査が必要

両耳の聴力レベルが100デシベル以上の場合、オージオメータによる検査結果のほか、聴性脳幹反応検査(ABR)などの他覚的聴力検査の結果が必要となります。

これは、自覚的な聴力検査だけでは正確性に欠ける可能性があるため、客観的な検査結果との整合性を確認するための仕組みです。診断書作成前に主治医にご相談されることをおすすめします。

ポイント③:診断書の記載は時間が経つほど取りづらくなる

障害認定日(原則として初診日から1年6ヶ月後)時点の状態を証明する診断書が必要ですが、時間が経つほど当時のカルテが廃棄されたり、主治医が異動・退職したりするリスクが高まります。

特に、5年・10年と経過したケースでは、当時の状態を正確に証明することが難しくなり、遡及請求が認められないことがあります。

💡あわせて読みたい:障害年金の遡及請求(さかのぼり請求)とは?

5. 働きながらでも聴覚障害の障害年金は受け取れる?

結論:はい、就労していても受給の可能性があります

聴覚障害による障害年金は、聴力レベル・語音明瞭度という客観的な検査数値で判定されるため、就労の有無が認定の直接的な要件とはなりません。復職後・在職中の方でも受給可能です。

補聴器・人工内耳を装用しながら勤務されている方、手話通訳・要約筆記・文字起こしツールを活用して業務をされている方も、認定基準を満たせば受給対象となります。

こんな方は申請をご検討ください

  • 身体障害者手帳(聴覚障害)をすでに取得している
  • 補聴器を装用しても会話の聞き取りに困難がある
  • 電話対応や複数人での会議参加が難しい
  • 人工内耳の装用を検討している、または装用している
  • 突発性難聴の治療後、聴力が十分に回復していない
  • 進行性の難聴で、徐々に聴力が低下している

6. 聴覚障害の障害年金に関するよくあるご質問

Q1. 身体障害者手帳の等級と障害年金の等級は同じですか?

A. 別の制度ですので、必ずしも一致しません。身体障害者手帳は身体障害者福祉法に基づく制度で、障害年金は国民年金法・厚生年金保険法に基づく制度です。手帳をお持ちでも障害年金の認定基準には別途該当する必要があります。
特に聴覚障害では、身体障害者手帳の認定基準と障害年金の認定基準で聴力レベルの基準値が異なるため、手帳の等級だけでは障害年金の等級を判断できません。

Q2. 補聴器をつけた状態での聴力で判定されますか?

A. いいえ。補聴器を外した状態(裸耳)での聴力レベルで判定されます。診断書には、補聴器を装用しない状態でのオージオメータ検査結果を記載していただく必要があります。

Q3. 突発性難聴の場合、初診日はいつになりますか?

A. 突発性難聴の症状が現れて最初に医師の診療を受けた日が初診日となります。耳鳴り・難聴・めまいなどで耳鼻咽喉科を初めて受診した日が一般的です。
ただし、治療により聴力が回復した後に再度悪化したケースなど、初診日の特定が難しい場合もありますので、ご不明な点はご相談ください。

Q4. 加齢性難聴でも障害年金の対象になりますか?

A. 加齢性難聴であっても、聴力レベルが認定基準を満たしていれば対象となる可能性があります。ただし、初診日要件(初診日に年金制度に加入していたこと)と保険料納付要件を満たす必要があるため、高齢で初診日が老齢年金受給開始後である場合は対象外となります。

Q5. 先天性難聴の場合はどうなりますか?

A. 20歳前に初診日がある先天性難聴の方は、20歳前傷病による障害基礎年金の対象となります。20歳の誕生日が障害認定日となり、認定基準を満たしていれば障害基礎年金1級または2級として受給可能です。所得制限がある点にご注意ください。

Q6. 国民年金(自営業・専業主婦)でも聴覚障害で障害年金は受給できますか?

A. 1級・2級に該当すれば、障害基礎年金として受給可能です(年額1,059,125円または847,300円)。ただし3級は障害厚生年金にしかないため、国民年金加入中に初診日がある方が3級相当の状態の場合は対象外となります。

7. 聴覚障害に伴う障害年金のご相談は専門の社労士へ

聴覚障害(耳の障害)の障害年金は、検査数値で等級が判定されるため、認定の見通しを立てやすい分野です。一方で、初診日の特定、語音明瞭度を加味した認定の主張、突発性難聴の経過観察期間の考え方など、専門的な判断が必要な場面も多くあります。

特に「聴力レベルだけでは2級に届かないが、語音明瞭度を加味すれば2級該当となるケース」もあり、診断書の取得方法や記載内容によって結果が変わることがあります。

当事務所では、聴覚障害をはじめとする様々な病気やケガの障害年金申請を専門的にサポートしています。受給できる金額の試算や、初診日の確認、認定基準への該当可能性の判断など、分からないことがあれば何でもご相談ください。ご本人やご家族の負担を少しでも軽減できるよう、親身になってお手伝いいたします。まずは無料相談やLINEによる簡単相談から、お気軽にお問い合わせください。

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※本記事に記載の年金額は、日本年金機構公表の令和8年4月分から適用される金額に基づいています(昭和31年4月2日以後生まれの方の額)。認定基準は日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」に基づきます。出典:障害基礎年金障害厚生年金障害等級表(日本年金機構)。

 

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