人工関節で障害年金はもらえる?受給条件・等級・申請ポイントを社労士が解説

長年の関節の痛みや機能障害に悩まされ、人工関節置換術を受けられた方、またはこれから手術を検討されている方は、手術後の生活や仕事、経済面について不安を感じているのではないでしょうか。

特に、

  • 「人工関節を入れたら障害年金はもらえる?」

  • 「障害年金の等級は何級になる?」

  • 「股関節や膝関節でも対象になる?」

  • 「手術後、いつから申請できる?」

  • 「働いていても障害年金は受給できる?」

このような疑問をお持ちの方も多いと思います。

結論から言うと、人工関節を体内にそう入置換された方は、一定の条件を満たすことで障害年金を受給できる可能性があります。

特に、初診日に厚生年金へ加入していた方で、股関節・膝関節・肩関節などに人工関節をそう入置換した場合、原則として障害厚生年金3級に該当する可能性があります。

この記事では、障害年金申請を専門とする社会保険労務士が、人工関節で障害年金を受給するための条件、対象となる関節、障害等級、申請の流れ、注意点について、わかりやすく解説します。

この記事でわかること

✅ 人工関節で障害年金を受給できる条件
✅ 人工関節置換術で認定される障害年金の等級
✅ 障害厚生年金3級に該当するケース
✅ 障害基礎年金で受給できる可能性
✅ 人工関節手術後の申請タイミング
✅ 診断書・病歴申立書で重要なポイント
✅ 働いていても受給できるケース
✅ 社労士へ依頼するメリット

この記事はこんな方におすすめです

  • 股関節・膝関節・肩関節などの人工関節置換術を受けた方

  • 変形性股関節症・変形性膝関節症で治療中の方

  • 関節リウマチや大腿骨頭壊死症で人工関節を入れた方

  • 手術後の生活や仕事に不安がある方

  • 障害年金の対象になるか知りたい方

  • 初診日が厚生年金加入中だった方

  • ご家族の障害年金申請をサポートしたい方

人工関節でも障害年金は受給できる?

結論から言うと、人工関節をそう入置換した方は、障害年金を受給できる可能性があります。

人工関節置換術とは、病気やけがによって機能が低下した関節を、人工の関節に置き換える手術です。

対象となる主な関節には、

  • 股関節

  • 膝関節

  • 肩関節

  • 肘関節

  • 手関節

  • 足関節

などがあります。

障害年金では、人工関節置換術は「肢体の障害」として評価されます。

ただし、人工関節を入れたからといって、誰でも自動的に受給できるわけではありません。

障害年金を受給するには、

  • 初診日要件

  • 保険料納付要件

  • 障害状態要件

を満たす必要があります。

障害年金とは?人工関節も対象になる公的制度

障害年金とは、病気やケガによって一定以上の障害状態になった場合に支給される公的年金制度です。

初診日に加入していた年金制度によって、主に以下の2種類があります。

障害基礎年金

初診日に国民年金へ加入していた方、または20歳前に初診日がある方が対象です。

対象者の例:

  • 自営業

  • フリーランス

  • 学生

  • 専業主婦(夫)

  • 無職の方

など。

障害等級は、

  • 1級

  • 2級

があります。

障害基礎年金には3級がないため、片側の人工関節置換だけでは対象にならないケースがあります。

障害厚生年金

初診日に厚生年金へ加入していた会社員・公務員などが対象です。

障害等級は、

  • 1級

  • 2級

  • 3級

があります。

また、3級より軽い状態でも「障害手当金(一時金)」の対象となるケースがあります。

人工関節の障害年金では、初診日に厚生年金へ加入していたかどうかが非常に重要です。

人工関節で障害年金を受給するための3つの条件

人工関節で障害年金を受給するには、主に以下3つの条件を満たす必要があります。

1. 初診日要件|原因となった傷病で最初に受診した日

「初診日」とは、人工関節置換術を受ける原因となった病気やけがで、初めて医療機関を受診した日のことです。

原因となる傷病の例:

  • 変形性股関節症

  • 変形性膝関節症

  • 関節リウマチ

  • 大腿骨頭壊死症

  • 外傷による関節障害

  • 先天性股関節脱臼

  • 臼蓋形成不全

など。

初診日で受給できる年金の種類が決まる

初診日に、

  • 国民年金加入中だったか

  • 厚生年金加入中だったか

によって、受給できる障害年金の種類が変わります。

特に、人工関節で障害厚生年金3級を受給できるかどうかは、初診日に厚生年金へ加入していたかが重要です。

2. 保険料納付要件|年金保険料を納めていること

障害年金を受給するためには、一定の保険料納付要件を満たす必要があります。

原則として、初診日の前々月までに、

  • 保険料納付済期間

  • 免除期間

  • 学生納付特例期間

などを含めて、加入期間の3分の2以上あることが必要です。

また特例として、

令和8年3月31日以前に初診日がある場合は、直近1年間に未納がなければ認められる場合があります。

20歳前に初診日がある場合は、本人の保険料納付要件は問われません。

3. 障害状態要件|認定基準に該当すること

人工関節をそう入置換した場合、障害年金の認定基準に基づいて障害等級が判断されます。

障害厚生年金は原則3級となるケースがある

認定基準では、

  • 一上肢の三大関節のうち一関節以上に人工骨頭または人工関節をそう入置換した場合

  • 一下肢の三大関節のうち一関節以上に人工骨頭または人工関節をそう入置換した場合

原則として障害厚生年金3級に該当する可能性があります。

三大関節とは、以下の関節です。

上肢の場合:

  • 肩関節

  • 肘関節

  • 手関節

下肢の場合:

  • 股関節

  • 膝関節

  • 足関節

3級は、

労働が著しい制限を受ける、または労働に著しい制限を加えることを必要とする状態

を指します。

障害基礎年金は2級以上が必要

障害基礎年金には3級がありません。

そのため、初診日が国民年金加入中の場合、片側の関節に人工関節を入れただけでは、障害基礎年金の対象になりにくい傾向があります。

ただし、

  • 両下肢に人工関節を入れている

  • 両上肢に人工関節を入れている

  • 日常生活に著しい制限がある

  • 杖や歩行器がなければ移動が困難

  • 家事や身の回りの動作に介助が必要

といった場合は、2級以上に該当する可能性があります。

複数の人工関節がある場合は上位等級の可能性もある

股関節と膝関節の両方、または左右両側の関節に人工関節を入れている場合などは、日常生活への支障が大きくなることがあります。

その場合、複数の障害を総合して判断する「併合認定」により、上位等級に該当する可能性もあります。

人工関節の障害年金で重要視されるポイント

人工関節をそう入置換した方の障害年金申請では、以下の点が重要になります。

障害認定日は「人工関節の手術日」

通常、障害年金では初診日から1年6ヶ月を経過した日が障害認定日になります。

しかし、人工骨頭または人工関節をそう入置換した場合は、

人工関節の手術日・そう入置換日

が障害認定日となります。

そのため、通常のように初診日から1年6ヶ月を待つ必要がない場合があります。

手術後、状態が安定したら、早めに申請準備を進めることができます。

診断書の内容が重要

人工関節の障害年金申請では、「肢体の障害用」の診断書を使用します。

医師には、以下の内容を正確に記載してもらうことが重要です。

  • 人工関節のそう入置換年月日

  • 人工関節の種類

  • 手術部位

  • 右・左の別

  • 原因となった傷病名

  • 発症から手術までの経過

  • 関節可動域

  • 筋力

  • 疼痛の有無・程度

  • 歩行能力

  • 補助具の使用状況

  • 日常生活動作への影響

  • 就労状況

特に、術後も痛みや可動域制限、歩行困難が残っている場合は、診断書へ反映してもらうことが大切です。

日常生活動作の状況を具体的に伝える

人工関節の障害年金では、日常生活動作の状況が重要です。

例えば、

  • 歩行できる距離

  • 階段昇降の可否

  • 立ち上がりの困難さ

  • しゃがみ込みの可否

  • 正座ができるか

  • 入浴やトイレ動作の支障

  • 着替えの困難さ

  • 杖・歩行器・車椅子の使用状況

などです。

診断書には、これらの生活実態が反映されていることが重要です。

病歴・就労状況等申立書も重要

病歴・就労状況等申立書では、発症から人工関節置換術に至るまでの経緯や、手術後の生活の変化を記載します。

具体的には、

  • いつ頃から痛みや違和感が出たか

  • どのような治療を受けたか

  • 手術前はどのような生活状況だったか

  • 手術後に生活がどう変わったか

  • 現在どのような動作が困難か

  • どの程度歩けるか

  • 仕事にどのような支障があるか

  • 職場でどのような配慮を受けているか

を整理して記載します。

診断書だけでは伝わりにくい日常生活や仕事への影響を補足する重要な書類です。

就労状況も審査で確認される

障害厚生年金3級では、就労状況も重要な判断材料になります。

人工関節を入れて働いている場合でも、

  • 以前と同じ仕事ができなくなった

  • 長時間の立ち仕事が難しい

  • 重い物を持てなくなった

  • 階段昇降が多い仕事が困難

  • 頻繁な移動ができない

  • 配置転換された

  • 時短勤務になった

  • 通院や体調管理への配慮を受けている

といった事情がある場合は、具体的に伝えることが大切です。

「働いているから無理」と自己判断せず、実際の働き方や制限を整理しましょう。

人工関節で障害年金を申請する流れ

人工関節置換術の場合、障害認定日が手術日となるケースがあるため、比較的早い段階で申請準備を進められます。

1. 年金事務所へ相談

まずは年金事務所や市区町村役場で、必要書類や手続きの流れを確認します。

2. 初診日の確認・証明

人工関節置換術の原因となった傷病の初診日を確認します。

初診の医療機関と診断書作成医療機関が異なる場合は、受診状況等証明書が必要になることがあります。

3. 診断書の作成依頼

人工関節をそう入置換した医療機関、または現在の主治医へ診断書作成を依頼します。

4. 病歴・就労状況等申立書の作成

発症から現在までの経過、日常生活や仕事への影響を具体的に整理します。

5. 必要書類を提出

年金請求書、診断書、申立書、その他必要書類をそろえて提出します。

6. 審査・結果通知

提出後、日本年金機構で審査が行われます。

結果が出るまでには、一般的に3ヶ月〜半年程度かかります。

社労士に人工関節の障害年金申請を依頼するメリット

人工関節の障害年金申請では、障害認定日の特例や診断書の記載内容、日常生活動作の伝え方など、専門的な判断が必要になることがあります。

認定基準に沿った申請ができる

人工関節の場合、手術部位や初診日の年金加入状況によって認定の考え方が異なります。

社会保険労務士に依頼することで、制度に沿った申請準備がしやすくなります。

診断書依頼時のポイントを整理できる

診断書は障害年金審査において非常に重要です。

社労士へ相談することで、医師にどのような内容を伝えるべきか整理しやすくなります。

病歴・就労状況等申立書を適切に作成できる

人工関節置換後の生活制限や就労制限は、人によって異なります。

社労士のサポートにより、審査側へ伝わりやすい形で申立書を作成しやすくなります。

手続きの負担を軽減できる

障害年金申請では、書類収集や年金事務所とのやり取りが必要です。

社会保険労務士に依頼することで、ご本人やご家族の精神的・時間的負担を軽減できます。

人工関節の障害年金に関するよくある質問

Q1. 人工関節を入れたら必ず障害年金3級をもらえますか?

A. 初診日に厚生年金へ加入しており、保険料納付要件を満たしている場合は、原則として障害厚生年金3級に該当する可能性があります。

ただし、実際には、

  • 初診日が証明できるか

  • 保険料納付要件を満たしているか

  • 人工関節の部位が認定基準に該当するか

  • 診断書に必要事項が記載されているか

などを総合的に審査されます。

また、初診日が国民年金加入中の場合は、障害基礎年金には3級がないため、片側の人工関節だけでは受給が難しいケースがあります。

Q2. 股関節と膝関節の両方を手術しました。等級は上がりますか?

A. 複数の関節に人工関節をそう入置換している場合、等級が上がる可能性があります。

例えば、

  • 両下肢に人工関節を入れている

  • 股関節と膝関節の両方に人工関節を入れている

  • 歩行に杖や歩行器が必要

  • 日常生活に著しい制限がある

といった場合は、2級以上に該当する可能性もあります。

ただし、最終的な等級は、人工関節の数だけでなく、歩行能力・日常生活動作・就労状況などを総合的に見て判断されます。

Q3. 働いていても障害年金はもらえますか?

A. はい、働いていても障害年金を受給できる可能性があります。

特に障害厚生年金3級は、「労働に著しい制限がある状態」が対象です。

そのため、

  • 長時間の立ち仕事ができない

  • 重い物を持つ業務ができない

  • 階段昇降や移動の多い仕事が難しい

  • 配置転換された

  • 時短勤務をしている

  • 通院や体調管理への配慮を受けている

といった事情がある場合は、申請時に具体的に伝えることが重要です。

Q4. 国民年金加入中でも人工関節で障害年金はもらえますか?

A. 片側の関節に人工関節を入れただけでは、原則として障害基礎年金の対象になりにくい傾向があります。

障害基礎年金は1級・2級のみで、3級がないためです。

ただし、

  • 両下肢に人工関節を入れている

  • 杖や歩行器なしではほとんど歩行できない

  • 日常生活に著しい制限がある

  • 身の回りの動作に援助が必要

といった状態であれば、2級以上に該当する可能性があります。

Q5. 手術してから数年経っていますが、今からでも申請できますか?

A. はい、今からでも申請できる可能性があります。

障害認定日から5年以上経過している場合でも、将来に向かって障害年金を請求できる可能性があります。

ただし、過去分をさかのぼって受け取れる期間には時効があり、原則として最大5年分までです。

「昔の手術だから無理」と諦めず、まずは初診日や手術内容、当時の記録を確認することが大切です。

Q6. 人工関節の再置換術を受けた場合、等級は変わりますか?

A. 再置換術を受けたことだけで、必ず等級が上がるわけではありません。

ただし、再置換術後に、

  • 痛みが強くなった

  • 歩行能力が低下した

  • 杖や歩行器が必要になった

  • 日常生活や就労への制限が強くなった

という場合は、等級変更を求める「額改定請求」を検討できる可能性があります。

まだ障害年金を受給していない方でも、再置換術後の状態によっては申請を検討できる場合があります。

まとめ|人工関節を入れた方は障害年金を確認しましょう

人工関節を体内にそう入置換された方は、障害年金を受給できる可能性があります。

特に、初診日が厚生年金加入中であれば、障害厚生年金3級に該当する可能性があります。

一方で、

  • 初診日の確認

  • 保険料納付要件

  • 人工関節の部位

  • 診断書の内容

  • 日常生活や就労への影響

など、申請時に確認すべきポイントも多くあります。

「自分の場合は対象になる?」
「股関節や膝関節でも申請できる?」
「今からでも請求できる?」
「働いていても大丈夫?」

このような疑問がある場合は、障害年金専門の社会保険労務士へご相談ください。

【神戸・尼崎・西宮 障害年金申請サポート】では、人工関節をそう入置換された方の状況を丁寧にヒアリングし、障害年金申請をサポートしております。

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